FP1級の学科に落ちた回数を、僕は正確に覚えていません。
4回か、5回か。もしかしたら6回目だったかもしれない。
覚えているのは、同じ試験会場に向かう電車の中で毎回「またここか」と思っていたことと、「次はもう来ないぞ」と自分に言い聞かせて、結局また来ていたことだけです。
よしハビットです。FP1級を取るまでに約3年かかりました。
この記事は、効率よく受かった人の合格体験記ではありません。FP1級の学科に落ち続けた2年と、それでもやめなかった理由、そして誰も書いていない実技(面接)の中身を書きます。
💡 この記事の要点まとめ
- FP1級の学科に4〜5回落ちた。足踏みした期間は約2年
- 公式データでは学科の合格率は12%台。落ち続けるのはむしろ普通だった
- 逆に実技は85%前後が受かる試験。僕も1回で、ただしギリギリ合格した
- 続けられた理由は仕組みではなく、「なんで始めたんだっけ」に立ち返れたこと
- 遠回りの原因は覚えるだけの勉強をしていたこと
📌 この記事でわかること
- FP1級の学科に落ち続けている人が、いま置かれている状況の客観的な数字
- 実技(面接)の当日の流れと、学科と決定的に違う点
- 働きながら1日2〜3時間をどこから捻出していたか
- 何度もやめようと思ったときに、何で持ち直したか

【失敗談】同じ会場に何度も。「またここか」と思いながら落ちた
まず、どれだけ不器用に進んだかから書きます。
きっかけは「かっこいいな」だった
金融機関に入ってすぐ、僕はFP2級を取りました。
そこからしばらく、特に何もしていません。2級で止まったまま、数年が過ぎました。
転機はたまたまで、FP1級を持っている人と話す機会があったことです。
そのとき素直に「かっこいいな」と思いました。立派な志があったわけではありません。ただ、それだけです。
そこから「自分もチャレンジしてみようかな」と思い始めて、勉強を始めました。
2年間、学科が受からなかった
そして、見事に落ち続けます。
学科が受からない期間が、2年ほど続きました。回数にすると4〜5回。正直なところ、5回目だったか6回目だったかも曖昧です。
同じ会場に何度も行きました。受付の場所も、椅子の並びも覚えてしまう。
そのたびに「またここか」と思い、「次はもう来ないぞ」と心に決めて、そしてまた落ちる。
「またこれか」と、何度も落ち込みました。
気分転換にMOSへ逃げた数ヶ月
途中で、完全に手が止まった時期があります。
気分転換と言えば聞こえはいいですが、MOS(パソコンの検定)に切り替えて逃げました。期間は数ヶ月、3ヶ月くらいだったと思います。
FP1級から離れて、受かる見込みのある試験に向かう。そのほうが精神的に楽でした。
そして戻ってきたとき、また一から積み直すことになります。離れていた分、知識は抜けていました。
【データ】学科12%台、実技85%前後。落ち続けたのは普通だった
当時は知りませんでしたが、いま調べると数字がはっきりしています。
学科の合格率は、直近3回とも10%台
きんざい(金融財政事情研究会)が公表している1級学科試験の結果です。
10人受けて1人か2人しか受からない試験です。
これを知っていたら、4〜5回落ちたことをあんなに恥じなかったと思います。当時の僕は「自分の頭が悪いから落ちている」と思っていました。
実技は、8割以上が受かる試験
一方で実技(資産相談業務)は84〜86%です。学科とはまったく性質が違います。
これは当然で、実技を受けられるのは学科に合格した人だけだからです。12%の関門を通った人たちだけで争うので、合格率は跳ね上がります。
僕が実技にそこまでの熱量をかけなかったのも、感覚としてこれが分かっていたからでした。
【折れなかった理由】仕組みでは乗り切れなかった
僕はいつも「続かないものは仕組みで潰す」と書いています。
ただ、この資格だけは仕組みで乗り切れませんでした。正直に書いておきます。
やめようと思ったのは、何度もある
一番きつかったのは、学科の5回目・6回目あたりです。
勉強のやり方は変えている。時間も使っている。それでも点数が伸びない時期がある。
やめようと思ったことは、何度もあります。仕組みを整えれば続く、という話ではありませんでした。
「ここでやめたら、何者でもない」
それでも戻ってこられた理由は、はっきりしています。
ここでやめたら、もともと始めた自分は何者でもないままだ。
僕が欲しかったのは「語れるもの」でした。自分とは何かを説明できる肩書きが欲しかった。
やめたらゼロです。やってきたことは無駄にならない——といまなら思えますが、当時はそう思えませんでした。自分が決めた目的に対して、何も残らないという感覚のほうが強かった。
初心に立ち返るのが、唯一の方法だった
逃げた時期はあります。それでも、また戻ってこられた。
決め手になったのは、毎回「なんで始めたんだっけ」に戻れたことでした。
FP1級を持っている人を見て、かっこいいなと思った。あの最初の気持ちを思い出す。それだけで、もう一度机に向かえました。
続ける技術の話は継続力を身につける6つのポイントに書いていますが、この資格に関しては技術より動機の確認のほうが効きました。
やめなかった結果、何が起きたか
合格してから変わったことを、具体的に書いておきます。
まず、仕事で名刺交換のときに話題になるようになりました。資格の名前が1つ載っているだけで、相手の反応が変わります。
そして、そこから生まれるのが信頼感でした。これは実際にかなり感じています。
いちばん大きかったのは、自分の話を親身になって聞いてくれる場面が増えたことです。同じ内容を話しても、受け取られ方が違う。お金の話は特にそうでした。
もう1つ、このブログの存在そのものがそうです。
諦めずに続けていれば、自分の目標にたどり着ける。その経験をしたから、それを人に伝えたいと思うようになりました。どうやって乗り越えたのかを書き残したい、と。
つまりこのブログを始めたきっかけも、あの3年です。あそこでやめていたら、この記事も書いていません。
【時間の作り方】朝と夜で2〜3時間。当時はまだ夜型だった
働きながらなので、時間はどこかから削るしかありません。
仕事終わりの比重のほうが高かった
勉強時間は朝と、仕事が終わってからの夜。合計で1日2〜3時間です。
ただし当時の配分は、いまとは逆でした。この頃の僕はまだ夜型で、仕事終わりの比重のほうが高かったんです。
いまの朝型とは、逆のやり方だった
いまの僕は5時半に起きて朝に2時間を使う生活をしています。
当時と正反対です。
どちらが正しいと言うつもりはありません。ただ、疲れた頭で机に向かう夜の2時間と、何も消耗していない朝の2時間は、同じ2時間ではなかった。それはいまだから言えることです。
3年かかった理由の一部は、ここにもあると思っています。
【実技】面接2回の当日の流れと、対策のしかた
ここからが、前の記事に書かなかった部分です。
実技を受けたのは2022年、学科に合格してから3〜4ヶ月後でした。結果は1回で合格。ただしギリギリの点数です。
設例を約15分で読み、約12分で答える
当日の流れは、こうでした。
- 会場に入り、待機と説明の時間がある
- あらかじめ用意された席に座る
- 順番にどんどん別の席へ移動させられる
- 時間を計って、設例(顧客の状況と質問が書かれた書類)を読み込む
- どんな状況の顧客のプランニングをするのかを頭に入れる
- 面接の部屋へ一人ずつ案内される
- 部屋の前で待機し、呼ばれたら入る
- 数分前に読んだ顧客の前提をもとに、審査委員から質問される
これを2回繰り返します。記憶で書きましたが、きんざいの実施要領と照らすと正確でした。
公式には、面接は異なる設例課題に基づき2回、設例はそれぞれ面接開始の約15分前に渡され、1人あたりの所要時間は約12分と書かれています。
そして配点は各100点の200点満点で、合計120点以上が合格。僕が「ギリギリ」と書いているのは、このラインのすぐ上だったという意味です。
学科と決定的に違ったこと
学科は筆記だけなので、言ってしまえば覚えるだけの部分がかなりあります。
面接は違いました。覚えた知識をもとに、「自分ならどうプランニングするか」を応用で問われます。
しかも答えを言うだけでは足りません。
どういう考えがあって、その結論になったのか。それを論理的に話す必要があります。
知識の量ではなく、知識の使い方を見られている。そう感じました。
対策は「質問例の答え合わせ」しかなかった
学科に受かってから、実技試験の対策本を買って勉強しました。
ただ、これが難しい。覚えればいい、というものではないからです。
やっていたのは、質問例を読んで、過去の事例を踏まえて何を聞かれそうかを想定し、質問例の解答と照らす——という作業でした。
問題は、自分の答えが合っているのかどうか、よく分からないことです。模範解答と違っても、論理が通っていれば正解かもしれない。そこを判定してくれる相手がいませんでした。
いまなら、AIに設例を作らせて壁打ちする
もし僕がいま実技を受けるなら、やり方を変えます。
AIに設例と質問例を作らせて、それに答える。そして答えに対して突っ込んでもらう。
この試験で問われているのが「論理的に説明できるか」である以上、相手がいる練習がいちばん効くはずです。当時いちばん足りなかったのがそれでした。

【費用】仮にいまの受検手数料で計算すると
正直に言うと、総額は覚えていません。
教材費は合計で2〜3万円ほどだったと思います。途中でいろいろ買い足したので、3万円に近いかもしれません。
問題は受検料のほうです。学科を5回前後、実技を1回受けているので、ここが積み上がります。
当時の手数料は覚えていないので、仮に2026年度の金額で計算してみます。
落ちた回数が、そのまま費用になります。
独学でこれなので、資格学校に通えばさらに乗ります。逆に言えば、1回で受かる人は数万円で終わるということでもあります。
⚠️ この金額は仮の試算です
僕が受験したのは数年前で、当時の受検手数料は覚えていません。上の表は2026年度の金額(学科8,900円/実技28,000円・いずれも非課税)で計算した仮のものです。手数料は改定されるので、申し込み前に公式サイトで確認してください。
【反省】覚えるだけの勉強が、遠回りの原因だった
いま同じ立場に戻るなら、変えることが1つあります。
本質的に何が問われているのかを考えることです。
当時の僕は、ただ数字を覚える、ただ文言を覚える——その勉強になっていました。
たとえば決算書に出てくる用語。あれは一度自分で決算書を作ってみると、まったく見え方が変わります。
「この言葉はここに効いているんだな」「こういう意味合いだったのか」と実際に感じ取らないと、自分ごとにならない。
文言だけを覚えようとすると、覚える量だけが増えて、定着しないまま時間が過ぎていきます。3年かかった理由の大部分は、これでした。
教材そのものの話はFP1級のおすすめ教材4選に書いているので、何を使ったかはそちらをどうぞ。
こんな人には、おすすめしません
この記事の内容が合わない人もいるので、正直に書いておきます。
- 短期間で効率よく受かる方法を探している人:僕は3年かけて4〜5回落ちています。最短ルートの参考にはなりません
- 取れば年収が上がると期待している人:僕にそういう変化があったとは書けません
- 「とりあえず」で1級に挑もうとしている人:2級とは範囲も深さもまったく違います。覚悟が要ります
- 落ちることを失敗だと捉えてしまう人:合格率12%台の試験なので、落ちるのが標準です
FP1級についてよくある質問
Q. FP1級は独学でも受かりますか?
A. 僕は資格学校に通わず独学で合格しました。ただし3年かかっています。時間を金で買う選択肢は普通にあると思います。
Q. 2級と1級はどれくらい違いますか?
A. 範囲も学習の深さも、まったく違います。合格率も2級とは別次元です。2級の感覚で臨むと確実に足をすくわれます。
Q. 学科に落ち続けています。やり方が悪いのでしょうか?
A. 合格率12%台の試験なので、落ちること自体は普通です。ただ僕の反省を言うと、覚えるだけの勉強をしていると点が頭打ちになります。
Q. 実技(面接)は難しいですか?
A. 合格率は84〜86%で、学科を通った人なら多くが受かります。ただ「覚えれば受かる」試験ではないので、対策の仕方は学科と変える必要があります。
Q. 勉強時間はどれくらい必要でしたか?
A. 僕は1日2〜3時間を、朝と仕事終わりに分けて確保していました。期間は約3年です。効率よくやればもっと短くできるはずです。
Q. 取ってよかったですか?
A. よかったです。名刺交換で話題になりますし、話を親身に聞いてもらえる場面が増えました。このブログを始めるきっかけにもなっています。
まとめ:落ち続けていた頃の自分に伝えたいこと
FP1級の学科に4〜5回落ちて、約3年かけて合格しました。
当時の自分に一言だけ伝えるなら、これです。
「落ちているのは、君だけじゃない」
合格率12%台。10人受けて8人以上が落ちる試験です。それを知らずに、僕は自分の頭が悪いからだと思っていました。
続けられた理由は、立派な仕組みではありませんでした。「なんで始めたんだっけ」に何度も立ち返れたこと、それだけです。
FP1級を持っている人を見て、かっこいいなと思った。その気持ちに毎回戻って、また机に向かいました。
いま勉強している人、これから目指す人に伝えたいのはその意思が強ければ受かるということです。そしてこの経験は、資格そのものより後で効いてきます。
今日やることを1つだけ挙げるなら、これです。
なぜその資格を取りたいのか、一行だけ紙に書いてください。
勉強法を探すより先です。落ちた日に読み返すのは、参考書ではなくその一行になります。
※合格率・受検手数料・試験制度は、きんざい(金融財政事情研究会)の公表資料に基づく2026年10月時点の情報です。制度や手数料は改定されるため、受検前に必ず公式サイトで最新の条件を確認してください。
※落ちた回数・受験時期など、僕自身の記憶があいまいな部分は幅を持たせて書いています。
